『ルソー』
- 作者: 桑原武夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1962/12/20
- メディア: 新書
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ルソーは身を持って哲学を語った。彼が持ち出した「社会契約」や「一般意志」などの哲学用語は、同時に革命用語でもある。押し付けがましい知識至上主義と専制に反抗し、人間の生来の尊厳を追求していく中でそのような思想は生まれてきた。彼自身は自分の理想がフランスで実現されることになるとは思っていなかったようで、ただコルシカ島のような小さな地域に希望を掛けている。しかし体制側に焚書されても生き残った彼の著作は、今や世界中で読まれるに至った。原理に立ち返った思想は強い。
「人間よ、人間的であれ」と彼は言った。人間が社会のためにあるのではない。社会が人間のためにあるのだ。しかし社会はときに生命を持ち、独立したシステムとして人間に暴威を振るう。そんなとき、ルソーは人々の心の中に何度でも蘇ってくるだろう。もしあなたが一人の人間的な人間として振舞いたいと願うなら、それに先立って、ある革命児の人生と語りを本書で辿っておいてはいかがだろうか。